【フィジーク向け栄養戦略】減量も増量も“落とさず仕上げる”ための実践ガイド

目次

先に結論

  • タンパク質
    • オフ(増量):1.8–2.7 g/kg/日
    • 減量:~2.4 g/kg/日(FFM基準なら 2.3–3.1 g/kgFFM/日
    • 1日4–5回、1回0.3–0.5 g/kg目安(ロイシン閾値を確保)
      参考:Helms 2014, ISSN 2017, Roberts 2020(下記参照)
  • 脂質
    • 総エネルギーの10–25%(下限 ≈40 g/日は割らない)
    • 残りは糖質に回し、出力と練習ボリュームを維持(Roberts 2020)
  • 炭水化物
    • オフ:3–7 g/kg/日
    • 減量:2–5 g/kg/日(“質の良い糖質”を残す)
    • ピーク週:3–12 g/kg/日で個別最適(Homer 2024)
  • 減量速度
    • 上限目安 −0.5%/週(速すぎるとFFMロス↑)
  • タイミング
    • トレ前30–90分:素早い糖質
    • トレ後:20–40 gタンパク+糖質
    • 就寝前:カゼイン≈40 g
    • 食事回数:1日4–6回で空腹・反動・練習質の乱高下を抑える
  • サプリ(出力底上げ)
    • ホエイ/カゼイン、クレアチン3–5 g/日カフェイン3–6 mg/kg(60分前)βアラニン4–6 g/日(分割)シトルリン~8 g(プレ)


1. 空腹時トレは筋分解を招くのか?

  • 空腹時はまず肝臓・筋のグリコーゲンが使われ、次に脂肪のグリセロールアミノ酸が糖新生で動員されます。
  • ただし、糖新生の本格動員には時間がかかるため、6–16時間程度の絶食で実質的な筋分解はほぼ起きないことがメタ分析等で示唆されています(2017年・システマティックレビュー/メタ分析の要旨より)。
  • 結論:“数時間の空腹=即・筋萎縮”ではない。必要以上に恐れる必要はありません。

2. 断食×運動のメリット:脂肪燃焼の側面

  • 2007年・オーフス大学:3日間の絶食で腹部皮下血流量が約50%増加→局所脂肪動員の理屈に合致。
  • 現実運用ではプチ断食(朝食スキップ等)で脂肪燃焼を狙える可能性。ただし競技の筋力・ボリューム維持が最優先の期間は、糖質を適切に残す方が合理的。

3. 炭水化物が“必要”な2つの理由

(1) エネルギー供給

  • レジスタンストレーニングの主要エネルギーは糖代謝由来。グリコーゲン欠乏は反復回数低下・筋出力低下・早期疲労につながる(南デンマーク大学/クイーンズランド大学などの実験的知見)。

(2) ホルモン環境

  • 高糖質はテストステロン濃度↑、低糖質は↓(Andersonらの古典的研究)。
  • テストステロンは**MPS(筋タンパク合成)↑/分解↓**に作用。インスリン・GH・衛星細胞環境にも好影響。

4. 糖質摂取量で変わる筋力・筋肥大

  • 中等度CHO>低CHO筋力増が大きい(8週間介入:中等度**+19%** vs 低CHO +14%)。
  • 12週間追跡では通常食群は筋力向上低CHO群は向上ほぼなし
  • 筋肥大でも、高CHO群は+1.3 kgに対し低CHO群はほぼ変化なし(タンパク質は両群2 g/kgで統一)。
    糖質を削りすぎると、筋力も筋肥大も伸びにくいのが実務的結論。

5. 量とタイミングの実務ガイド

量(デイリー)

  • アスリート推奨4–7 g/kg/日
  • 一般〜筋肥大志向の実務の出発点まず3 g/kg/日で着地を確認 → 体重・練習質・主観疲労で微調整。
  • 減量期2–5 g/kg/日へ絞るが、練習強度が落ちない範囲で可能な限り残す

タイミング

  • トレ前30–90分素早い糖質(例:バナナ/マルトデキストリン)。
  • トレ後1–2時間タンパク20–40 g+糖質でMPSとグリコーゲン回復。
  • 就寝前カゼイン≈40 gで夜間の分解抑制。
  • 食事回数1日4–6回で空腹・反動・練習質の乱高下を予防。

インスリンは「土台」:トレ中〜直後に最低限のインスリン環境が保たれていれば、MPSは十分に駆動。


6. 良質な炭水化物BEST3(満足度×微量栄養×炎症)

  1. ジャガイモ
    • 食品満足度スコア323(白米130の約2.5倍)
    • 良質アミノ酸プロファイル+ビタミンC/B群が豊富
  2. サツマイモ
    • 伝統的主食/食物繊維豊富、抗炎症・抗肥満の所見も
    • 大腸がんリスク低減に関する示唆(疫学)
  3. ブルーベリー
    • 強力な抗炎症・抗酸化。DNAダメージ約20%低減(1か月ジュース摂取)などの報告
    • フルーツは総じて炎症低下・微量栄養が優秀(満足度は品目差あり。オレンジは高スコア)

7. 年間設計・ピークウィーク・サプリ

年間設計(増量/減量)

  • オフ:高めのCHOでトレ強度・ボリュームの天井を引き上げる
  • 減量8–24週で**−0.5%/週以内を目安(筋量の保全率↑)。70 kgなら−0.3〜0.35 kg/週**(月−1.2〜1.4 kg)。

ピークウィーク(仕上げ)

  • CHO 3–12 g/kg/日で個別最適。
  • 水分・ナトリウムの極端なカットはNG:パンプ・血流低下の原因。普段どおり〜やや増が安全で再現性高い(Homer 2024 他)。

サプリ(“出力の底上げ”が軸)

  • ホエイ/カゼイン(充填用)
  • クレアチン3–5 g/日
  • カフェイン3–6 mg/kg(60分前)
  • βアラニン4–6 g/日(分割)
  • L-シトルリン~8 g(プレ)

8. まとめ(保存版チェックリスト)

  • P:オフ1.8–2.7/減量~2.4 g/kg(FFM基準2.3–3.1 g/kgFFM
  • C:オフ3–7/減量2–5 g/kg強度維持を最優先
  • F10–25%エネルギー≥≈40 g/日
  • Rate−0.5%/週以内
  • Timingプレ糖質ポスト20–40 gタンパ+糖質就寝前カゼイン4–6食/日
  • PeakCHO 3–12 g/kg, 水・Naは極端操作なし
  • Supps:クレアチン/カフェイン/βアラニン/シトルリン+プロテイン

参考文献(リンク)

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