「毎日筋トレしても大丈夫?」
「休みを入れないと筋肉が落ちる?それとも毎日の方が伸びる?」
頻度の相談を受けるとき、ほぼ必ずと言っていいほど出てくるのがこのテーマです。
結論から言うと——
“やり方さえ間違えなければ”毎日筋トレをしても、筋肉や身体に悪影響はほとんどありません。
むしろ、筋力や神経適応の面ではメリットもあることが、最近の研究から分かっています。
ただし、
- 長時間ダラダラやる
- 休むタイミングを誤る
- 日常生活のストレスまで無視する
こういうやり方を続けると、
オーバーリーチング〜オーバーワークに入り、トレーニング効果は一気に落ちます。
この記事では、
- 2021年 リオデジャネイロ連邦大学
- 2024年 ヨーロッパスポーツ科学ジャーナル
- 2022年 西ノルウェー応用科学大学
などのデータをベースに、
「毎日筋トレ」のメリットと危険ライン、そして“正しい休み方”
まで、ブログ用にキレイに整理してお伝えします。
先に結論だけ押さえたい人向け:3つのポイント
- 毎日筋トレでもOK
- 24時間休み(=毎日トレ)でも、
- トレーニングボリューム
- 神経筋活動
- 主観的疲労感
は、48時間休みと大きな差はない
- ただし、48時間休みが「一番疲労が抜けやすい」傾向はある
- 24時間休み(=毎日トレ)でも、
- 筋力アップは「頻度が多い方が有利」
- 週1回 vs 週4回の下半身トレ比較では、
- 筋肥大・ジャンプ力:同程度
- 筋力(スクワットの伸び):週4回が圧勝(+15kg vs +8kg)
- 週1回 vs 週4回の下半身トレ比較では、
- “毎日×短時間”は◎、“たまに×長時間”は×
- 1回46分×週1 vs 1回21分×週2の比較では、
- 短時間×高頻度の方が
- 不快感が少なく
- ボリュームも多く
- 満足度も高い
- 短時間×高頻度の方が
- 90分以上の長時間トレは、コルチゾール(ストレスホルモン)大量分泌ゾーン
- 1回46分×週1 vs 1回21分×週2の比較では、
つまり、
- 「毎日×短時間×分割」=◎
- 「たまに×長時間×限界まで」=△〜×
というのが今の科学的な結論です。
ここから、もう少し深掘りしていきます。
1. 2021年 リオデジャネイロ連邦大:24・48・72時間の休息比較
まず、「筋トレ後どのくらい休めば回復するのか?」という超基本の部分から。
研究デザイン概要
- 対象:健康な男性15名
- 条件:同じ筋トレを行い、
- 24時間後
- 48時間後
- 72時間後
に再トレーニング
- 比較した指標:
- トレーニングボリューム(重量×回数×セット)
- 筋電図による神経筋活動
- 主観的疲労感
結果:一番回復しやすいのは48時間
- 48時間休んだときが最も
- 疲労感が軽く
- トレーニングボリュームも大きく
- 神経筋活動も高かった
ただし、
- 24時間(=毎日トレーニング)でも
- ボリューム
- 神経活動
- 疲労感
は48時間とそこまで大きな差はなかったというポイントが重要です。
「48時間空けると一番コンディションは良い。
でも、24時間ごとのトレーニングでも、数字的には十分戦える。」
というニュアンスです。
2. 2024年 週1回 vs 週4回:筋力は高頻度が圧勝
次は「筋トレ頻度と筋力の伸び」の話。
研究デザイン概要
- 期間:8週間
- 対象:6ヶ月以上筋トレ経験のある18〜30歳の男女 22名
- 種目:
- スクワット
- デッドリフト
- スプリットスクワット
- ブルガリアンスクワット
- 条件:
- 週1回グループ
- 上記4種目を1セッションにまとめて実施
- 週4回グループ
- 4種目を4セッションに分割して実施
- 総ボリューム(重量×回数×セット数)は両群で同じ
- 週1回グループ
結果①:筋力
- 週1回:スクワット+8kg
- 週4回:スクワット+15kg
→ 約7kgの差で週4回が圧勝。
結果②:筋肥大・ジャンプ力
- 筋肉の厚さ
- ジャンプ力
に関しては、両群とも同程度の増加(有意差なし)。
解釈
- 筋肥大・パフォーマンスは、
→ 週1でも週4でも、**「総ボリュームさえ同じなら」ほぼ同じ - ただし、「筋力(重量)」という点では、
→ 週4回に分けた高頻度の方が有利
研究者のコメントとしては、
- 高頻度トレーニングの方が
- セッションごとの疲労が少ない
- 毎回の質が高く
- 神経適応が起こりやすい
- 結果として、筋力アップが大きくなった
とまとめられています。
3. 「毎日トレーニングOK」でも“長時間トレ”はNG
ここで重要なのが、
「毎日やっていいか」と
「1回何分やっていいか」は別問題
だということです。
2022年 西ノルウェー:長時間 vs 分割トレーニング
- 対象:筋トレ歴約4年のトレーニー23名
- 条件:
- 長時間グループ:週1回46分のトレーニング
- 分割グループ:週2回21分のトレーニング(合計43分)
- 比較した指標:
- トレーニングボリューム
- 不快感(しんどさ)
- 満足感
結果
- トレーニングボリューム
→ 長時間1回より、短時間×高頻度の方が多くこなせる - 情動反応
→ 長時間トレは- 不快感↑
- なのになぜか満足度も↑(=“やった感”だけ高い)
つまり、長時間やっても
- ボリュームはむしろ減り
- しんどさだけ増え
- 「やった気になっているだけ」になりやすい
という、トレーニーには耳が痛い現実が示されています。
加えて、
- 90分以上の長時間トレーニングでは、
→ コルチゾール(ストレスホルモン)が顕著に上昇するというデータも多数
コルチゾールが高い状態が続くと、
- 筋分解↑
- 免疫低下
- 睡眠の質低下
など、筋肥大にも健康にもマイナスです。
4. フィットネス・疲労理論で考える「休むタイミング」
ここからは、**「いつ休めばいいのか?」**の話です。
フィットネス・疲労理論とは?
トレーニングによって、
- **フィットネス(体力・筋力のベース)**は、ゆっくり右肩上がり
- 疲労は、トレーニングを行った直後にドンと増える
と考えます。
パフォーマンス(その日の挙上重量やタイム)は、
パフォーマンス = フィットネス − 疲労
で決まる、というのがフィットネス・疲労理論です。
具体例
- 筋トレしてフィットネス+10、疲労−30になったとします
→ パフォーマンスは −20(めちゃくちゃキツい状態) - 1日休むと
- フィットネス:+10 → +8(少し落ちる)
- 疲労:−30 → 0(抜ける)
→ パフォーマンスは +8 まで回復
「ちょっとフィットネスが落ちても、疲労が抜けた方がパフォーマンスは上がる」
というイメージです。
5. オーバーリーチングとオーバーワーク、ディロードの目安
オーバーリーチング
- トレーニングや日常ストレスで疲労が溜まり、
- 一時的にパフォーマンスが落ちている状態
- 数日休めば回復し、むしろパフォーマンスが跳ね上がることも多い
この段階で休めれば理想です。
オーバーワーク(オーバートレーニング)
- オーバーリーチングを放置し続けた先
- 数日休んでも戻らない
- 数週間〜数ヶ月の休養や治療が必要になるケースも
**“頑張りすぎた証拠”ではなく、“トレーニング設計ミスの結果”**です。
ディロードを入れるタイミングの目安
万人共通の「何週間やったら何日休めばいい」という公式はありませんが、
目安としては次のように考えられます。
初級者(筋トレ歴半年未満)
- 特徴:
- 毎回のトレで重量や回数が伸びやすい
- 休みの目安:
- 「最近、重量も回数も伸びなくなってきたな…」と感じたとき
→ 3〜7日ほど、負荷を落とす or 完全休養
中級〜上級者(筋トレ歴半年〜1年以上)
- 特徴:
- 毎回重量を上げるのは難しく、
- 「いつもの重量・回数を維持できるか」が指標になる
- 休みの目安:
- 普段の重量・回数が明らかにこなせなくなってきたとき
→ ディロード(ボリュームと負荷を半分以下に落とす) or 1週間前後の休みを入れる
筋繊維タイプ別のディロード期間
- 遅筋タイプ(タイプⅠ繊維が多い人)
- 子どもの頃、持久走が得意だったタイプ
- 筋回復が速め
→ 4週間集中 → 3日〜1週間休みが目安
- 速筋タイプ(タイプⅡ繊維が多い人)
- 短距離や球技の瞬発力が得意だったタイプ
- 高強度は出せるが、回復に時間が必要
→ 4週間集中 → 1〜2週間休み(またはディロード)
いずれの場合も、
「何となく疲れたから」ではなく、
“パフォーマンス(重量・回数)が落ちてきたタイミング”で休む
という視点が重要です。
6. 毎日筋トレするなら、こう組むと安全で効果的
ここまでの話を、実践用にまとめます。
毎日筋トレの鉄則
- 1セッションは長くても60分以内(できれば30〜45分)
- 部位分割で疲労を分散させる
- 週4〜6回は「しっかり」、残りは軽め or 完全休養
- 4週間ごとにディロードを必ず入れる
例:週6日トレーニング(1日45分以内)
- 月:胸+肩
- 火:背中+二頭
- 水:脚+腹
- 木:胸+肩
- 金:背中+二頭
- 土:脚+体幹+軽い有酸素
- 日:完全休養 or 超軽いストレッチ・散歩のみ
これなら、
- 各筋群は週2回刺激
- 1回あたりの時間は短め
- コルチゾールが暴れにくく
- 神経適応も得やすい
という、「毎日やるメリットだけを拾う」構成にできます。
7. まとめ:毎日筋トレは“敵”ではなく、設計次第で“最強の味方”
- 2021年の研究から
→ 48時間休みが最も回復しやすいが、24時間ごと(毎日トレ)でも大きな問題はない - 2024年の研究から
→ 週1より週4の方が、筋力アップは明らかに大きい(筋肥大は同等) - 2022年の研究から
→ 長時間の週1トレより、短時間×高頻度の方がボリュームもメンタル面も有利
この3つを合わせると、
- 「毎日の筋トレ」そのものは悪ではない
- 問題なのは「長時間・高ストレス・休息なし」で続けてしまうこと
- 正しく分割し、短時間にまとめ、適切なタイミングでディロードすれば、
毎日筋トレは“筋肥大・筋力アップ・神経適応”の強力な武器になる
というのが、現時点の科学的な答えです。
筋トレだけが人生ではありません。
仕事・家庭・ストレスも全てひっくるめての**「神経疲労の総量」**を見ながら、
- 毎日短く
- 賢く分割し
- 勇気を持って休みを入れる
この3つさえ守れば、
「毎日筋トレしているのに身体が壊れる」心配は、かなり小さくできます。
あなたのライフスタイルに合わせて、
“無理のない毎日筋トレ設計”をぜひ組んでみてください。
References(English)
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