この記事の結論(先に要点)
- 「10時間の食事ウィンドウ+14時間の断食」(水分はOK)をベースにする
- それに 週3回の全身筋トレ(中〜高強度) を組み合わせる
- 研究では、体脂肪の減少が大きく、筋肉(除脂肪量)は維持されやすい方向に出ている
- さらに 血圧・不安・睡眠の指標も改善が示されている(対象や条件は後述)
なぜ「時間制限食」なのに筋肉が落ちにくいのか?
時間制限食(Time-Restricted Eating; TRE)は、カロリーを厳密に数えなくても、食事回数・摂取タイミングが整うことで、結果的に摂取エネルギーが減りやすいのが特徴です。
ただし「TREだけ」だと、体重が落ちても 筋肉(除脂肪量)が一緒に落ちるリスクが上がります。
そこで重要なのが 筋トレの併用。筋トレは減量期でも、筋量維持のシグナル(機械的張力・神経筋刺激)を入れられるので、脂肪だけ落として筋肉は守る方向に寄せやすくなります。
2025年の研究で何が起きた?(8週間データの要点)
若年〜中年の過体重〜肥満の男女を対象に、8週間で以下を比較した研究(TRE単独/筋トレ単独/TRE+筋トレ)では、ざっくり次が示されています:
体重
- 筋トレ単独:大きな変化が出にくい
- TRE単独:減少
- TRE+筋トレ:減少(TRE単独と同程度〜やや大きい)
体脂肪
- TRE+筋トレ:体脂肪の減少が最も大きい(研究内で大きな差)
除脂肪量(筋肉量の指標)
- 筋トレ単独:増える方向
- TRE単独:減る方向
- TRE+筋トレ:維持しやすい
血圧・不安・睡眠
- TRE+筋トレで、血圧や不安、睡眠の質に改善が出た(研究条件内)
重要:この結果は「その研究の対象(年齢・肥満度)」「8週間」「その筋トレ内容」という条件つきです。あなたの体質・生活リズム・摂取たんぱく質量でブレます。
実践用プロトコル(まず4週間これをやる)
「8週間まるごと完璧」は続きにくいので、まずは4週間で設計します(続けられたら8週間へ延長)。
① 食事ウィンドウを10時間に固定する
- 例)10:00〜20:00に食べる(この10時間に食事をまとめる)
- 20:00〜10:00は 水・無糖のお茶・ブラックコーヒー まで(砂糖・ミルクは原則なし)
ポイントは「断食時間を伸ばす」より、毎日だいたい同じ時間にすること。
② 週3回の全身筋トレ(基本は中強度)
研究の筋トレは「全身法×週3」を軸に設計されていました。
あなたの環境に合わせて、次のどちらかでOK。
A:シンプル全身(週3)
- 下半身:レッグプレス or スクワット系
- ハム:レッグカール or RDL系
- 押す:ベンチプレス or ダンベルプレス
- 引く:ラットプル or ロウ系
- 仕上げ:アーム種目は余裕があれば
強度の目安:
- 8〜12回でキツい重さ(RIR 1〜3)
- 1種目あたり2〜4セット
- 合計45〜70分に収める
③ たんぱく質だけは“死守”する(減量中の筋肉保険)
筋肉を守るなら、体重あたり約1.6 g/kg/日が一つの目安として有名です(そこから上は効率が頭打ちになりやすい、というメタ解析)。
減量で食事量が落ちるほど、1.6〜2.2 g/kg/日あたりを狙うのは実務的に強いです(胃腸や好みに合わせる)。
- 例)体重70kg → 112g/日(1.6×70) が最低ラインの目安
- 1日2食なら:1食あたり 45〜60g が必要になりやすい(結構多い)
「脂肪燃焼をさらに上げる」上乗せテク(やるならここまで)
あなたの原稿には「筋トレを脂肪燃焼向けに寄せる」パートがありました。方向性としては理にかなっています。
ただし、数値(何倍・何kcal)は研究・測定法で揺れるので、“勝ちやすい型”だけ残して実装するのが安全です。
上乗せ①:全身の多関節種目を入れる
急性反応として、全身の抵抗運動は脂肪酸化や脂肪組織のリポリシス(分解)関連の反応が観察されます。
→ つまり、**「大きい筋肉を使う全身メニュー」**は、減量局面で合理的。
上乗せ②:筋トレ後に“軽め”の有酸素を足す
抵抗運動を先に行い、その後に有酸素を入れると、基質利用(脂質利用)の方向が変わることが報告されています。
注意点:筋肥大への干渉(いわゆるインターフェレンス)は、条件次第で見え方が変わります。古典的には「特にランニング多めだと不利」というメタ解析がありますが、近年のメタ解析では「必ずしも筋肥大・最大筋力に干渉しない」という整理もあります。
なので安全策としては、
- 有酸素は ウォーキング〜軽いバイク
- 時間は 10〜25分
- できれば筋トレと別日に分ける(難しければ同日でもOK)
この条件なら「脂肪狙い」と「筋肉維持」を両立しやすいです。
よくある失敗と対策
失敗1:断食で我慢→食事ウィンドウで爆食
→ 対策:最初の2週間はウィンドウ内の“タンパク質と野菜”を先に固定。炭水化物・脂質はその後。
失敗2:2食にしてタンパク質が足りない
→ 対策:
- 1食あたりのタンパク質を増やす(肉・魚・卵・乳・大豆)
- 足りない分はプロテインで埋める
(「食品で無理ならサプリで補助」は合理的)
失敗3:筋トレの強度が落ちる
→ 対策:
- 断食明けの最初の食事を「トレ前」に寄せる
- どうしても空腹で辛い日は、トレの質を優先してウィンドウを少し前倒し
4週間の実行プラン(コピペ運用用)
- 毎日:10時間の食事ウィンドウ(例:10:00〜20:00)
- 週3回:全身筋トレ(45〜70分、8〜12回でキツい強度)
- できれば:筋トレ後にウォーキング10〜25分
- 最優先:タンパク質 1.6 g/kg/日(減量がきついほど重要)
参考文献
- Cui T, et al. Efficacy of time-restricted eating and resistance training on weight/fat loss, muscle mass, and sleep quality in young adults with overweight or obesity. 2025. (PMCID: PMC11926902)
- Morton RW, et al. A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training–induced gains in muscle mass and strength. Br J Sports Med. 2018. (PMID: 28698222)
- Nunes EA, et al. Systematic review and meta-analysis of protein intake and resistance exercise training adaptations. 2022. (PMCID: PMC8978023)
- Kang J, et al. Effect of preceding resistance exercise on metabolism during subsequent aerobic session. J Strength Cond Res. 2009. (PMID: 19504118)
- Allman BR, et al. Fat metabolism and acute resistance exercise in trained women. J Appl Physiol. 2019.
- Wilson JM, et al. Concurrent training: a meta-analysis examining interference of aerobic and resistance exercises. J Strength Cond Res. 2012. (PMID: 22002517)
- Schumann M, et al. Compatibility of Concurrent Aerobic and Strength Training for Muscle Strength and Hypertrophy. Sports Med. 2022.
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