週セット数の正解:筋肥大と筋力が伸びる「境界線」を論文から逆算する

目次

先に結論

  • セット数は「多いほど良い」が基本。ただし 伸びはだんだん鈍くなる(逓減)。
  • 重要なのは「週○セット」だけじゃなく、1回(1セッション)で何セットやるか
  • 2025年の“1セッション当たりボリューム”のメタ解析では、追加セットの上積みが小さくなり始める目安(PUOS)が
    • 筋肥大:~11 “fractional sets”/セッション
    • 筋力:~2 “direct sets”/セッション
      と整理されている。
  • つまり「頑張ってるのに変わらない」人は、足りないより先に「1回で盛りすぎて、後半の質が落ちている」可能性が高い。

まず大事:セットの数え方を間違えると結論もズレる

同じ「10セット」でも中身が違います。そこで近年のメタ解析では、セットを次のように整理します。

direct set(直接セット)

その筋の“評価(テスト)”と同じ動作・同じ狙いに直結するセット。
例:ベンチプレスの1RMを伸ばしたいなら、ベンチプレスのセットが最も「direct」になりやすい。

fractional set(分数セット)

主働筋は違っても、同じ筋に十分な刺激が入る“間接セット”を 0.5セットとして数える考え方。
例:胸の成長を見たいとき、ディップスやプッシュ系の補助刺激を「半分」として扱うイメージ。

この整理が重要で、「週セット数」の議論が噛み合わない最大の原因は 全部を同じ1セットとして数えることにあります。


最新のポイント①:筋肥大は「1回あたり11セット付近」で伸びが鈍る

1セッション当たりのボリュームと筋肥大の関係をまとめた解析では、筋肥大は追加セットで伸び続ける一方、~11 “fractional sets”/セッションを超えるあたりから上積みが小さくなりやすい(PUOS)と示されています。

実務に落とすとこうなる

  • その日に胸をやるとして、胸に関わる“fractional換算”で ~11セット前後を「効率帯の上限」に置く
  • それ以上は「やる価値ゼロ」ではないが、追加1セットの見返りが小さい(疲労コストが勝ちやすい)

最新のポイント②:筋力は「1回あたり2セット付近」で効率が落ちる

同じ解析で、筋力(strength)は ~2 “direct sets”/セッションあたりで上積みが小さくなりやすい(PUOS)と整理されています。

実務に落とすとこうなる

  • 筋力を伸ばしたい種目(例:ベンチ、スクワット、デッド等)は
    その種目の“direct”を2セットくらい丁寧に積むだけでも効率が高い
  • そこから先は、1回で足すより 頻度を増やすほうが合理的になりやすい(後述)

最新のポイント③:「週セット数」はどう考える?

週ボリュームと頻度を扱ったメタ解析では、ざっくり以下の整理です。

  • 筋肥大:週の“fractionalボリューム”が増えるほどプラス。ただし逓減。高ボリューム側はデータが薄く不確実性も大きい。
  • 筋力:週ボリュームも頻度もプラスだが、逓減がより強い(ある程度で頭打ちに近づきやすい)。

加えて、古典的な週セット研究でも「増やすほど伸びるが、伸び方は鈍る」という方向性は一致しています。


じゃあ結局どう組む?最短で伸ばす“設計図”

ここからは「迷わない」ためのテンプレです。

1)筋肥大が目的の筋群

  • 1セッション:その筋に関わる刺激を fractional換算で~6〜11セットに収める(効率帯)
  • 週頻度:まず 週2回(可能なら3回)に分けて、1回の盛りすぎを防ぐ
  • 週合計:伸びが止まったら “週合計”を少しずつ増やす(いきなり倍にしない)

例(胸を週2回)

  • Day1:胸に関わる刺激 fractional換算 6〜8
  • Day2:胸に関わる刺激 fractional換算 6〜8
    → 合計は“伸びる範囲”を確保しつつ、1回で潰れない

2)筋力が目的の種目

  • 1セッション:その種目の direct 1〜2セットを“高品質”でまず固定
  • 週頻度:強くしたいなら、セットを足すより 週2〜3回に分ける方向が噛み合いやすい

例(ベンチを週3回)

  • 各日:ベンチ direct 2セット(重さ・速度・フォームを崩さない範囲)
  • 補助は“疲労が残らない量”に抑える(翌日に響かせない)

「クラスターセット」は必要?

結論:筋肥大そのものは、条件を揃えると同等になりやすい。
2025年の研究では、クラスターと通常セットを「ボリューム」と「努力度(RIR)」で揃えると、筋肥大は同程度だったと報告されています。

なのでクラスターは、筋肥大を“魔法で増やす”というより、

  • 高重量でフォームを崩したくない
  • 反復の質を落とさず総量をこなしたい
    ときの 品質維持テクとして使うのがいちばん得です。

まとめ:伸びない人が最初に直すべきこと

  • まずは「1回で盛りすぎ」をやめる
    • 筋肥大:1回あたり fractional ~6〜11 に収める
    • 筋力:1回あたり direct ~1〜2 を丁寧に
  • 伸びが止まったら
    • 1回のセット数を足す前に 頻度で分ける
  • それでも止まったら
    • 週合計を「少しずつ」増やす(睡眠・食事が整ってる前提)

参考文献

  • Jacob F. Remmert . Per-session set volume and adaptations: multi-level meta-regressions
  • Joshua C. Pelland ほか. Weekly volume & frequency and adaptations: meta-regressions
  • Salvador Vargas-Molina Cluster sets vs traditional sets
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