筋トレを頑張っているのに、なぜか筋肉が増えない。
プロテインも飲んでいるし、サプリも気をつけている。
それでも——
「見た目が変わらない」「思ったほど筋肉がつかない」
そんなモヤモヤを感じたことはありませんか?
その原因のひとつが、たんぱく質の“量”だけ見ていて、“質”を見落としていることです。
同じ「たんぱく質20g」でも、
どの食品から摂るかによって、
- 筋タンパク合成(MPS)のスイッチがどれだけ強く入るか
- どれだけ長くオンの状態を維持できるか
が大きく変わります。
この記事では、科学的データをもとに「筋肥大に有利な動物性たんぱく質BEST3」を厳選して紹介します。
あなたの筋トレの努力を、“確実な筋肉”として積み上げるための食材と、その使い方を解説していきます。
先に結論:動物性たんぱく質BEST3
✅ 第1位:卵
- アミノ酸スコア1.0、生物価100という“完全食品”
- 1日1個で脳血管疾患リスクが下がるという報告も
- 3〜4個/日でもコレステロールを悪化させないデータが多数
- 温泉卵・半熟卵が最も筋肥大向きの調理法
✅ 第2位:全乳(ホールミルク)
- 乳たんぱく(ホエイ+カゼイン)はアミノ酸スコア1.0
- トレーニング後は無脂肪乳より全乳の方がMPSが高い
- ビタミンDやカルシウムが豊富で、インスリン感受性にもプラス
- ただし低脂肪・無脂肪・甘味入り乳はNG
✅ 第3位:肉(牛・豚・鶏)
- 高いアミノ酸スコア&吸収率
- 牛・豚・鶏で栄養プロファイルが異なるので、ローテーションが理想
- 赤身肉は調理法を間違えると発がん物質が増えるので注意
- 基本は「鶏をベースに、牛・豚を少量プラス」が安全で続けやすい
このランキングの背景にあるのが、必須アミノ酸とロイシンの働きです。
まずはその“超基礎”から、サクッと整理しておきます。
なぜ筋肥大には「動物性たんぱく質」が重要なのか?
1. 必須アミノ酸がそろっているかどうか
人の身体をつくるたんぱく質は、20種類のアミノ酸で構成されています。
そのうち、体内で合成できない9種類が必須アミノ酸です。
- バリン
- ロイシン
- イソロイシン
…など、いわゆるBCAA(分岐鎖アミノ酸)を含む9種類。
必須アミノ酸が1つでも不足すると、筋タンパク合成率は大きく低下してしまいます。
つまり、
「全部そろっているか」
「バランス良く入っているか」
が筋肥大には非常に重要です。
ここで強みを発揮するのが動物性たんぱく質です。
肉・魚・卵・乳製品などの多くは、
- 9種類すべての必須アミノ酸を含む
- アミノ酸スコアも1.0(またはそれに近い)
という特徴を持っています。
2. ロイシンが“スイッチ”を押す
筋トレ経験者なら一度は聞いたことがある「ロイシン」。
筋肉の材料というよりは、**筋タンパク合成のスイッチを入れる“トリガー”**の役割を持っています。
2007年・コペンハーゲン大学の研究では、ロイシンが
- 筋タンパク合成の促進
- タンパク質分解の抑制
の両方に働くことが示されています。
筋肥大は、
合成量 > 分解量
となったときに初めて起こるため、ロイシンの摂取は非常に重要です。
動物性たんぱく質は、
- ロイシン含有量が高い
- かつ吸収速度・消化効率も良い
という利点があり、**“1食あたりのMPSを確実に上げやすい”**という強みを持っています。
3. 「必須アミノ酸+ロイシン+食べやすさ」の三拍子
筋肥大のために、理論上は植物性たんぱく質だけでも構いません。
しかし実際には、
- 必須アミノ酸のバランス
- ロイシン量
- 食べやすさ・続けやすさ
を総合的に考えると、動物性たんぱく質をある程度ベースにした方が圧倒的に効率が良いのが現実です。
そのなかでも特に、
- 必須アミノ酸がしっかりそろっている
- ロイシンが多い
- 吸収率が高い
- 調理・摂取がしやすい
といった条件を満たすものだけを絞り込んだのが、今回のBEST3です。
第3位:肉(牛・豚・鶏)
~アミノ酸バランス最強クラス。ただし調理法を間違えると「毒」にもなる~
栄養としての“スペック”
肉全般(牛・豚・鶏)は、
- アミノ酸スコア:0.92前後〜1.0
- たんぱく質効率比(PER):約2.9
- 生物学的価値(BV):80前後
と、たんぱく質の質としては非常に優秀です。
ここでのポイントは、「どの肉が一番筋肉に良いか?」ではなく、
牛・豚・鶏で、それぞれ得意分野が違う
ということです。
牛肉(+羊・ヤギ):ミネラル・鉄・亜鉛が豊富
- ミネラル全般が豊富
- ビタミンB群、鉄、亜鉛もしっかり摂れる
- 赤身肉にはオメガ3脂肪酸も含まれ、酸化ストレスを抑える働きも
→ 筋肉だけでなく、貧血予防・免疫・ホルモンバランスの面でもメリットが大きい食材です。
豚肉:ビタミンB群の“エネルギー肉”
- ビタミンB6・ナイアシン・チアミンが豊富
- 牛肉よりやや栄養価は劣るものの、疲労回復・エネルギー代謝にはかなり優秀
- 赤身部位を選べば脂質も適度
→ 「疲れが抜けない」「仕事+筋トレでヘトヘト」という人には特におすすめです。
鶏肉:低脂質・高たんぱくの“ベース肉”
- 牛・豚より栄養価は劣る部分もあるが、その分脂肪が少なく使いやすい
- ビタミンB6・ナイアシンが豊富
- 疲労回復に関与する「イミダペプチド」も含まれる
- 価格が安く、日常的に使いやすい
→ 「日常のメインたんぱく源」としては最も優秀なポジションと言えます。
赤身肉・加工肉の“落とし穴”と対策
問題になるのは、**肉そのものよりも「調理法」**です。
赤身肉(牛・豚・羊など)を高温で焼くと、
- ヘテロサイクリックアミン(HCA)
- 多環芳香族炭化水素(PAH)
といった発がん性物質が発生します。
特に、
- 脂肪が多い部位を
- 高温で
- 長時間焼き続ける
ことでこれらが増加し、DNAダメージや大腸がんリスク上昇と関連します。
2015年のWHO報告では、
- 赤身肉(牛・豚・羊・ヤギ)を多く食べると、
結腸・直腸がんリスクが約17%増大 - 加工肉を1日50g食べると、
結腸がんのリスクが約18%増加
と報告されています。
「毒肉」にしないためのポイント
① 脂肪が少ない部位を選ぶ
…脂が多いほどPAHが出やすい
② 高温・長時間加熱を避ける
- 細かく切って短時間で火を通す
- レア〜ミディアムレアで仕上げる
- 可能なら低温調理を活用
③ スパイスを活用する
2008年の研究では、HCAの発生をスパイスで大幅に抑えられることが示されており、
特にオニオンパウダーは最大94%抑制というデータもあります。
④ ノンフライヤーを使う
2017年の韓国の研究では、
- 通常の揚げ調理 vs ノンフライヤー
- 鶏肉・ポテトを比較したところ、
- 脂肪分が約70%減少
- 100gあたり約45kcalマイナス
という結果も出ています(※有害物質自体は大きく減らない点には注意が必要)。
「どれくらい食べていいのか?」
2017年のメタ分析(945件から選別)では、
- 赤身肉を1日35g以上 vs 35g以下で比較しても
- コレステロール値に有意差はなし
また、2019年ハーバード大学のメタ分析では、
- 赤身肉摂取量:1日46.5〜500g
- 期間:2〜36週間(平均8.5週間)
という条件で、
- 中性脂肪:わずかに上昇
- 血圧や心疾患リスク:明確な悪化はなし
という結果も出ています。
つまり、「赤身肉=即悪」ではなく、
量と調理法さえ守れば、むしろ筋肉と健康の両方に役立つ
というのが現時点での結論です。
肉の実践的な使い方
- 日常のベース:鶏むね・ささみ・脂身の少ないモモ肉
- プラスα:週数回、赤身の牛・豚を少量
- 調理法:低温調理 or ノンフライヤー+オニオンパウダー
- 加工肉(ハム・ソーセージなど)は、あくまで“たまの楽しみ”扱い
第2位:全乳(ホールミルク)
~「太る」「脂肪が悪い」は誤解。実は筋肥大を後押しする最強ドリンク~
乳たんぱくの力
全乳に含まれるたんぱく質は、
- アミノ酸スコア:1.0(MAX)
- たんぱく質効率比:約2.5
- 生物学的価値:約77
と、非常に質が高い動物性たんぱく質です。
ホエイとカゼインが適度な割合で含まれており、
- ホエイ:消化が早くMPSを一気に高める
- カゼイン:ゆっくり吸収され、アミノ酸濃度を長時間キープ
という“いいとこ取り”ができるのが特徴です。
全乳 vs 無脂肪乳:どっちが筋肥大に有利?
2006年・テキサス大学の研究では、
- 筋トレ未経験の男性にウェイトトレーニングを実施
- その後に
- 全乳
- 無脂肪乳
を飲ませ、筋タンパク合成率を比較
という実験が行われました。
結果
- トレーニング後の筋タンパク合成率は、無脂肪乳より全乳が上
- 「脂肪を除いた方がヘルシーで筋肉にも良い」という直感とは逆の結果に
→ 少なくとも筋肥大目的では、「無脂肪」より「全乳」が有利ということが分かります。
低脂肪・無脂肪乳が“腸”に良くない理由
2014年・ワイツマン科学研究所のデータでは、
- 粗悪な人工甘味料の摂取によって、
- 腸内細菌叢が乱れる
- 消化不良や耐糖能の悪化を起こしやすくなる
ことが示されています。
低脂肪乳・無脂肪乳の多くは、
- 乳脂肪を取り除いて味が薄くなった分
- 人工甘味料や増粘多糖類などで“飲みやすく”している
ケースが非常に多いのが現実です。
腸は、
- たんぱく質・アミノ酸の吸収
- 免疫
- ホルモン・神経との連携
など、筋肥大にとっても超重要な臓器です。
ここが人工甘味料でダメージを受けると、
「せっかく良い栄養を摂っているのに、吸収側がボロボロ」
という状態になりかねません。
全乳の健康面のメリット
2019年・アルバートアインシュタイン医科大学のメタ分析では、
- 30件の研究・約2900名を対象に分析
- 全乳の摂取により、
- インスリン抵抗性の改善
- 体重減少へのポジティブな影響
が報告されています。
- ビタミンD
- カルシウム
- 乳脂肪に含まれる各種脂肪酸
が、インスリン感受性や食欲のコントロールに良い影響を与えていると考えられています。
全乳の実践的な使い方
- 1回量:コップ1杯(150〜200ml)程度
- タイミング:
- トレーニング後の炭水化物と一緒に
- 食事前後(満腹感UP+血糖コントロール狙い)
NGパターン
- 「低脂肪」「無脂肪」「甘さすっきり」などのフレーバー乳
- 原材料に
- 人工甘味料
- 果糖ブドウ糖液糖
- 増粘多糖類
がズラッと並ぶ商品
こうしたものは、長期的には腸にダメージ → 筋肥大効率ダウンにつながる可能性があります。
第1位:卵
~アミノ酸スコア・生物価ともに“頂点”。筋肥大・健康・ダイエット全部に効く完全食品~
卵の“たんぱく質スペック”
- アミノ酸スコア:1.0(MAX)
- たんぱく質効率比:3.9
- 生物学的価値:100(MAX)
たんぱく質だけで見れば、
「卵を基準に、他の食品の価値が測られている」
と言っていいレベルです。
健康リスクどころか“守ってくれる”食材
2016年のメタ分析(約30万人対象)では、
- 1日1個の卵摂取で、脳血管疾患のリスクが約12%低下
- 卵は脳の老化を防ぐ可能性があると報告
さらに、同じく2016年の研究では、
- 1日3〜4個の卵摂取により、体脂肪が減少しやすくなる
- 卵の摂取でコレステロールの吸収が抑えられることも示唆
かつては
「卵はコレステロールが高いから1日1個まで」
と言われていましたが、近年の研究では、卵を食べても血中コレステロールが大きく上がらないことが繰り返し報告されています。
健康な人であれば、
- 1日3〜4個程度の卵摂取はほぼ問題なし
- むしろ筋肉・脳・体脂肪のすべてにメリット
という立ち位置になっています。
調理法で“吸収率”が激変する
卵は調理法によって、
- たんぱく質の吸収率
- ビタミンの利用効率
がガラッと変わります。
代表的な例がこちらです。
- 生卵:たんぱく質吸収率 約51%
- 温泉卵・半熟卵:約91%
→ **同じ卵でも、温泉卵・半熟卵の方が圧倒的に“筋肥大向き”**です。
調理法別・ざっくり特徴
- 温泉卵・半熟卵
→ たんぱく質吸収率◎、ビタミンも比較的保たれる - ゆで卵(固ゆで)
→ 一部ビタミンは熱で減るが、
髪の健康に関わる「ビオチン」の吸収率がアップ - 目玉焼き・卵焼き
→ たんぱく質吸収率はやや落ちるが、
脂溶性ビタミン(A・D・E)の吸収が上がり、腹持ちも良い
筋肥大を最優先するなら「温泉卵・半熟卵」。
髪の健康や満腹感も考えるなら、ゆで卵・卵焼きも使い分ける、というイメージです。
最近は、
- 温泉卵メーカー
- レンジ用ゆで卵メーカー(半熟対応)
なども安価に手に入るので、「毎日2〜3個の半熟卵」をルーティン化するハードルはかなり低いと言えます。
卵の実践的な使い方
- 朝食:
- 温泉卵 or 半熟卵を2個
- オートミールやご飯と一緒に
- トレ後:
- ホエイプロテイン+半熟卵1〜2個
- もしくは卵かけご飯+全乳
- ダイエット中:
- 卵焼きやゆで卵で“腹持ちUP目的”に使う
プロテインパウダーだけに頼らない方が良い理由
プロテインパウダーは確かに便利ですが、「それだけで済ませる」のはもったいないです。
1. アミノ酸濃度の“持続時間”が短い
プロテインドリンクは消化が早く、血中アミノ酸濃度も一気に上がりますが、
その分下がるのも早いという特徴があります。
一方、肉・卵・乳などの“固形たんぱく源”は、
- 消化吸収に時間がかかる
- そのぶん血中アミノ酸濃度を長時間キープ
しやすいため、MPSをより長くオンにできる可能性があります。
2. ビタミン・ミネラル・脂質が足りなくなる
プロテインパウダー中心の食事は、
- 亜鉛・鉄・ビタミンB群
- ビタミンA・D・E・K
- 良質な脂質(オメガ3・一価不飽和脂肪酸)
などが不足しがちです。
これらは、
- 筋タンパク合成
- ホルモンバランス(テストステロンなど)
- 免疫・回復・睡眠
に深く関わるため、長期的な筋肥大には必須です。
3. 満腹感・食事満足度の低下
プロテインドリンクだけだと、
- 噛む回数が減る
- 消化が早く、空腹が戻るのも早い
といったデメリットがあります。
食事満足度が低いと、
「結局お菓子やパンに手が伸びる」
「夜にドカ食いしてしまう」
といった行動につながりやすく、体脂肪増加の原因にもなりかねません。
まとめ:今日からできる「筋肥大メシ」の組み立て方
最後に、この記事のポイントを整理します。
- ✅ 筋肥大には、必須アミノ酸がそろった動物性たんぱく質が強い味方
- ✅ 特にロイシンは、筋タンパク合成のスイッチ&分解抑制の両方に働く重要アミノ酸
- ✅ 第3位:肉(牛・豚・鶏)
- 高アミノ酸スコア&高吸収率
- 調理法を間違えると発がん性物質が増えるので、
低温調理・ノンフライヤー・オニオンパウダー活用で“毒肉化”を防ぐ
- ✅ 第2位:全乳(ホールミルク)
- 無脂肪乳より全乳の方がMPSを高める
- 人工甘味料たっぷりの低脂肪乳は腸を傷つけるリスク
- 食事前後やトレ後にコップ1杯を目安に
- ✅ 第1位:卵
- アミノ酸スコア・生物価ともに“頂点”
- 1日1個で脳血管疾患リスク低下、3〜4個でもコレステロールは悪化しにくい
- 温泉卵・半熟卵が、筋肥大の観点では最強の調理法
そして何より大事なのは、
「プロテインパウダー頼み」から
「肉・卵・乳を軸にした“筋肥大メシ”+プロテインは補助」
という考え方に切り替えることです。
References
※本文で参照した主な英語文献のみ記載しています。
- Katsanos CS et al. Amino acid ingestion and muscle protein synthesis (2007). Copenhagen University.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/18059606/ - Benjamin EJ et al. Egg consumption and risk of cardiovascular disease: a meta-analysis (2016).
https://academic.oup.com/endo/article/152/3/912/2457375 - O’Connor LE et al. Effects of red meat on cardiovascular risk factors: a systematic review and meta-analysis (2017).
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27881394/ - Zeraatkar D et al. Red and processed meat consumption and risk for all-cause mortality and cardiometabolic outcomes: a systematic review and meta-analysis (2019).
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31533272/ - Micha R et al. Processed and unprocessed red meat and risk of colorectal cancer (IARC/WHO report).
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https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/32308009/
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19241593/
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