【筋トレ科学】週3回VS週6回の筋トレどちらが筋肥大を引き起こす?

「頻度は多いほど正義?」──答えは単純ではありません。筋肥大はまず総ボリュームの設計、筋力は強度の担保、維持は“強度死守”が要。健康・継続性の観点では、短時間×分割が効く。この記事では、頻度をめぐる代表的研究と実装を一つに束ね、“迷わない設計図”として提示します。

要約(TL;DR)
・筋肥大:総ボリュームを合わせれば週3 ≒ 週61
・筋力:差を生むのは頻度より強度3
・維持:強度さえ落とさなければ最小頻度・最小セットでも維持可能4
・健康/継続:短時間×分割で不快感↓・コンプライアンス↑、血管機能にも良い示唆5,6

目次

1. なぜ「頻度」で迷うのか(前提の整理)

  • 頻度=「部位あたり/週」が基本。全身3回=各部位週3とは限らない(分割設計に依存)。
  • ボリューム統一で比較しないと結論がぶれる:総レップ×負荷×セットが揃うと頻度差は縮小しやすい2
  • 訓練歴の影響:未経験者は何をしても伸びやすく、頻度差が出にくい。

2. 筋肥大:週3 vs 週6(ボリューム一致条件)

週3と週6を6週間で直接比較した研究では、群間に有意差なし(上腕三頭・大腿直筋・中間広筋の筋厚は同程度に増加)。
一方、上腕二頭のみ週3で+7%の伸び、週6は不変。高頻度により間接的疲労(例:ローの後にカール)で小筋群の回復が遅れた可能性が示唆されます1

実務の要点:同じ総ボリュームを確保できるなら週3でも週6でもOK。ただし高頻度時は順序と休息を再設計(ローの翌日に二頭高ボリュームを置かない等)。

3. 筋力:頻度より“強度”が支配的

メタ解析では、週1〜3の頻度差はボリューム統制下で小さい一方、筋力の伸びは1RMの%(強度)とセットの質(RIR)に強く依存3。主運動はフォームを崩さない範囲で5〜8RM、補助で10〜15RMを使い分けるのが堅実です。

  • 主運動:5–8RM × 2–4セット(RIR 0–2)
  • 補助:10–15RM × 2–4セット(RIR 1–3)
  • 週合計セット:中級者の目安=部位あたり10–15セット/週

4. 維持:強度を落とさなければ“最小限”で保てる

最小限での維持を検討したレビューは、強度の維持こそが決定因子と結論。若年層なら週1・各1セット規模でも筋力・筋量の維持が報告されています4。忙しい週は“メンテ週”(強度死守+セット削減)へ切り替えましょう。

5. 健康・継続性:短時間×分割のメリット

同一日の合計時間が同じでも、短時間×2回のほうが総ボリューム↑・不快感↓で継続しやすいことが示されています5。さらに、血管内皮機能(FMDなど)は刺激の定期性がカギで、中強度の運動を週5〜7日推奨。筋トレの“仕上げ”に有酸素10〜20分を足すのが効率的です6

6. 実装テンプレ(すぐ使える雛形)

A. 週3派|全身×3(回復と時間の両立)

  • 狙い:筋肥大と筋力の両立。部位10–15セット/週。
  • プラン例:
    Day1:スクワット/ベンチプレス/シーテッドロー/サイドレイズ/レッグカール/カーフ/腹
    Day2:ルーマニアンDL/オーバーヘッドプレス/ラットプル/インクラインダンベルプレス/アームカール/体幹
    Day3:レッグプレス/ディップスorケーブルプレス/ワンハンドロー/リアレイズ/トライセプスエクステンション/腹
  • 仕上げ:各日とも有酸素10–20分(ゾーン2〜3)。

B. 週6派|分割×6(フォームの鮮度と分散)

  • 狙い:疲労分散で毎回のフォーム精度を高める。
  • プラン例:胸/背/脚/肩/腕/全身(軽〜中強度:技術・ポンプ)
  • 注意:ロー翌日に二頭高ボリュームを置かない。小筋群の“間接疲労”を考慮して順序と休息を調整。

C. 多忙週|維持モード(Damage control)

  • 頻度:週1–2
  • 内容:各部位1–3セット、5–8RM中心(RIR 1–2)
  • 基準:重量を落とさない。パンプ減は“見た目の一時変化”。

8. まとめ:頻度は“器”、中身(量・強度・回復)で勝つ

頻度そのものは魔法ではありません。筋肥大は量、筋力は強度、維持は強度死守。そこへ健康・継続性を足すなら短時間×分割が光ります。――すなわち、あなたが最も高い質でボリュームを積める頻度こそが、最速の正解です。

参考文献

  1. Saric J, et al. Resistance Training Frequencies of 3 and 6 Times Per Week Produce Similar Muscular Adaptations in Resistance-Trained Men. J Strength Cond Res. 2019. PubMed
  2. Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW. Effects of Resistance Training Frequency on Measures of Muscle Hypertrophy: A Systematic Review and Meta-Analysis. Sports Med. 2016.(ボリューム統制後、頻度効果は縮小) Springer
  3. Ralston GW, Kilgore L, Wyatt FB, Baker JS. Weekly Training Frequency Effects on Strength Gain: A Meta-Analysis. Sports Med Open. 2018;4:36. Springer
  4. Spiering BA, et al. Maintaining Physical Performance: The Minimal Dose of Exercise Needed to Preserve Endurance and Strength Over Time. Med Sci Sports Exerc. 2021. PubMed
  5. Pedersen H, et al. Effects of One Long vs. Two Short Resistance Training Sessions on Training Volume and Affective Responses. Scand J Med Sci Sports. 2022. Wiley
  6. Königstein K, et al. Training the Vessels: Molecular and Clinical Effects of Exercise on Vascular Health. Cells. 2023. PMC
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