「毎日ジムに通っているのに、思ったほど身体が変わらない…」
「頑張っているつもりなのに、重量も見た目も伸びがイマイチ…」
こんな相談を本当によく受けます。
そのときにまずチェックするのが、
トレーニングの“分割の組み方”が合っているかどうか
です。
同じメニュー・同じ重量・同じ回数でも、
「どの順番で・どの頻度で」筋肉に刺激を入れるかで、
筋肥大率・筋力増強率は大きく変わります。
今日は、最新の研究データをベースに、
- 全身法 vs 分割法の本当の違い
- 減量期・増量期・初心者〜上級者で分けた「ベストな組み方」
- 筋肥大率・筋力増強率を“倍増させる”神の分割法【具体メニュー付き】
まで、一気に解説していきます。
先に結論:神の分割法は「頻度×疲労設計」で決まる
まず最重要ポイントだけ先にまとめておきます。
✅ 神の分割法 2大原則
- 1つの筋群を週2回以上は必ず鍛える
- 筋疲労を最大限リカバリーできるスケジュールにする
この2つが守られていれば、
- 全身法でも
- 分割法でも
筋肥大・筋力増強の“ポテンシャル”はほぼ同じです。
一方で、
- 週5回ジムに行っているのに
- 胸は週1回だけ
- 背中も週1回だけ
という「5分割・週1刺激スタイル」は、
**最新研究的には“かなりもったいない組み方”**になります。
ここからは、なぜそう言えるのか?を順番に見ていきます。
全身法 vs 分割法:どっちが筋肥大するのか?
全身法と分割法ってそもそも何?
まずは超基礎の整理から。
- 全身法
1回のトレーニングで- 足
- 胸
- 背中
- 肩
- 腕
- 体幹
など“全身の筋肉”を一気に鍛える方法。
→ 例:月・水・金の週3回、毎回フルボディで鍛える。
- 分割法
鍛える部位を日ごとに分ける方法。
→ 例:- 月:胸
- 火:背中
- 水:脚
- 木:肩
- 金:腕
「一日で全身やるか?」「部位ごとに分けるか?」の違いですね。
2015年以降、研究が一気に増えた
2015年以降、
全身法 vs 分割法を比較する研究が一気に増え、
2024年4月には、マドリード工科大学から最新のメタ分析が出ています。
- 対象:合計14件の研究
- 条件:トレーニングボリューム(重量×回数×セット数)を同じに揃える
- 比較:
- 全身法
- 分割法
結果
ボリュームさえ揃えれば、
筋力増強も筋肥大も「全身法=分割法」でほぼ同じ
という結論でした。
つまり、
- その日に全身を鍛えても
- 部位ごとに分けて鍛えても
「総ボリューム(重量×回数×セット数)が同じなら、結果もほぼ同じ」
ということです。
「分割法が主流」になった背景と、その後のひっくり返り
「分割法の方が良い」と広まった大きな理由は、約10年前の
『トレーニング後48時間は筋合成が続く』
という“通説”です。
アメリカスポーツ医学会などが、
- 筋タンパク合成はトレ後48時間続く
- その間に再び同じ筋肉を鍛えても、合成率的にはあまり意味がない
という見解を出したことで、
- 週3回程度の分割法が効率的
- 筋合成期間を考えると、頻度はそこまで要らない
という考え方が主流になりました。
ところが――
2021年、イギリス・サルフォード大学から出たレビュー論文では、
「筋肉の合成がトレ後48時間続く」という強い科学的根拠は存在しない
ことが明らかにされます。
そのうえで、
- ボリュームを揃えれば、全身法でも分割法でも効果はほぼ同じ
- 重要なのは「どの方法か?」ではなく、
“トータルでどれだけ質の高いボリュームを積めるか”
という方向に、大きくパラダイムが変わってきました。
つまり、「分割法だけが正義」という考え方は、
今の科学基準では“古い教科書”になっているということです。
減量期は全身法が“ほぼ一択”になる理由
ここからは、
「今の自分の状態なら、全身法・分割法どっちがいいのか?」
という実践編です。
まずは、減量期・ダイエット期の人から。
減量期は「筋分解との戦い」
2024年・ゲント大学のデータでは、
- 筋力トレーニングをしている筋肉は
→ 筋分解が強く抑えられる - 一方、鍛えない期間が続く筋肉は
→ カロリー不足・タンパク不足により萎縮しやすくなる
ということが示されています。
減量中はどうしても
- 摂取カロリー ↓
- 体脂肪+筋肉、両方がエネルギーとして使われやすい
状態になるため、
「どの筋肉に“生き残れ”というメッセージを送るか?」
がめちゃくちゃ重要になります。
全身法 vs 分割法:減量期の決定的な違い
- 全身法
- 1回のトレーニングで全身を刺激
- すべての筋肉に対して「ここは削るな」という合図を出せる
- 分割法
- 例:胸の日・背中の日・脚の日…
- 「胸の日」は背中や脚はノー刺激
- → カロリー不足の中、鍛えていない部位は筋萎縮しやすくなる
例えば、
減量期に週3回の「3分割」をしていると、
- 胸の日:胸は守れるが、背中・脚などは筋分解方向へ
- 背中の日:背中は守れるが、胸・肩・脚は分解方向へ
- 脚の日:脚は守れるが、他の部位は…
となり、
増量期に苦労して増やした筋肉を、自分で削ってしまうリスクが高まります。
そのため、減量期・ダイエット期の人には「全身法」が強く推奨されます。
- 全身法なら、全ての筋肉に「ここは残せ」という信号を送り続けられる
- 結果として、体重を落としても見た目のサイズダウンを最小限にできる
減量期の方は、
まずは週2〜3回の全身法を軸にすることをおすすめします。
分割法が真価を発揮するケース
じゃあ分割法は不要なのか?というと、もちろんそんなことはありません。
分割法には、全身法にはない大きなメリットがあります。
① 筋トレ継続率アップ(特に初心者)
筋トレ初心者がいきなり高強度の全身法を行うと、
- ほぼ100%の確率で強い筋肉痛
- 特に脚トレで「階段を降りるのもつらい」状態に
- 筋肉痛が取れるまで休んでいると、週1回しかトレできない
その結果、
- 継続率ダウン
- トレーニングボリューム不足
- 筋肥大も筋力増加もイマイチ
というパターンにハマりやすくなります。
一方、分割法なら、
- 胸の日に筋肉痛が出ても、翌日は背中や脚を鍛えられる
- 「どこかしら鍛えられる部位が残っている」状態を作れる
- 結果として、“ジムに行く回数”自体を増やしやすい
「とにかく筋トレを習慣化したい」「筋肉痛で心が折れた経験がある」
という人には、分割法がかなり有利に働きます。
② 好きな部位・伸ばしたい部位にボリュームを集中できる
分割法のもう一つの強みは、
「伸ばしたい部位のボリュームを増やせる」
ことです。
例えば、解剖学的な特徴として、
- 三角筋中部・後部は、遅筋繊維の割合が高い傾向
- → ある程度のボリューム・頻度が必要になりやすい
全身法では、
- その日一日で全身を回す必要があるため
- 肩だけに大ボリュームを割こうとすると、他の部位が手薄になりがち
そこで、
- 「肩の日」を作って集中的にボリュームをかける
- 「胸+肩」の日を週2回作る
といった分割設計によって、
狙った部位を狙った分だけ“盛る”ことができるようになります。
③ 疲労を分散できる
全身法はどうしても、
- 一回のセッションが重く・長くなりやすい
- 集中力の維持が難しく、後半のフォームが崩れやすい
というデメリットがあります。
分割法なら、
- 1セッションで鍛える部位が限られる
- その分、各種目に集中しやすく、フォームの質を保ちやすい
- トレーニング後の疲労感も適度に分散できる
特に、仕事が忙しい社会人にとっては、
「今日は胸・肩だけ30〜40分」
「明日は背中・腕だけ30〜40分」
のような分割の方が、現実的に継続しやすいことが多いです。
神の分割法:2つのルールと3つのおすすめパターン
ここからが本編です。
筋肥大率・筋力増強率を最大化するための「神の分割法」を具体的に紹介します。
神ルール①:1つの筋群は必ず週2回以上
最新のメタ分析では、
- トレーニングボリュームを統一した条件下で
- 「週1回刺激 vs 週2回以上刺激」を比較すると、
週2回以上の方が筋肥大率が高いという結果が報告されています。
ここから導かれる結論はシンプルで、
「週5回トレーニング=5分割で週1回刺激」だけは避けろ
ということです。
- 胸:週2回
- 背中:週2回
- 脚:週2回
を軸に設計し、
どの筋肉も“最低週2回は触る”ように分割を組むことがポイントです。
神ルール②:疲労を抜けるデザインにする
もう一つの大原則は、
「疲労を最大限リカバリーできるように組む」
ことです。
いくら頻度が高くても、
- 月:胸
- 火:胸
- 水:胸
- 木:胸
…のように同じ部位を連投すると、 - 回復が追いつかない
- パフォーマンス低下
- フォーム崩れ → ケガリスク増加
となり、結果的に筋肥大・筋力増強から遠ざかります。
そこで、
「使う筋群が被りすぎないように」「強度の高い日は間に休みを挟む」
という設計が重要になります。
おすすめ分割①:プッシュ/プル(2分割)
まずは、筋トレ初心者〜中級者に超おすすめの分割です。
プッシュ(押す動き)
- バーベルベンチプレス:大胸筋全体
- インクラインダンベルプレス:大胸筋上部
- ショルダープレス:三角筋前部〜中部
- サイドレイズ:三角筋中部
- ディップス:大胸筋下部・上腕三頭筋
- ケーブルプレスダウン:上腕三頭筋
- プランク:体幹
プル(引く動き)
- デッドリフト:広背筋・脊柱起立筋
- 懸垂:広背筋
- ベントオーバーロー:僧帽筋・広背筋
- バーベルカール:上腕二頭筋
- インクラインダンベルカール:上腕二頭筋長頭
1週間の例(週4回)
- 月:プッシュ
- 火:プル
- 水:休み
- 木:プッシュ
- 金:プル
- 土:休み
- 日:休み
→ 各筋群に週2回の刺激+週末にしっかりリカバリーが取れる構成です。
「とにかくシンプルに効果を出したい」「上半身メインでカッコよくしたい」
という方は、まずこのプッシュ/プル二分割から始めるのがおすすめです。
おすすめ分割②:上半身/下半身(2分割)
次に、全身をバランス良く鍛えたい方・下半身もしっかりやりたい方向けの分割です。
上半身の日
- バーベルベンチプレス
- インクラインダンベルプレス
- ショルダープレス
- デッドリフト
- 懸垂
- バーベルカール
- サイドレイズ
- ケーブルプレスダウン
→ 胸・背中・肩・二頭・三頭を一気にカバー。
下半身+体幹の日
- スクワット
- レッグプレス
- レッグカール
- カーフレイズ
- プランク
- ツイスト(ロシアンツイストなど)
- レッグレイズ
1週間の例(週4回)
- 月:上半身
- 火:下半身
- 水:休み
- 木:上半身
- 金:下半身
- 土:休み
- 日:休み
「初級者は上半身だけでもいい?」と思うかもしれませんが、
下半身トレーニングは、
- 筋量の大部分を占める
- 成長ホルモン・テストステロンの分泌を促す
など、全身の筋肥大にも直結します。
ただし、脚トレは精神的にも肉体的にもキツいので、
- 筋トレ継続6ヶ月まではプッシュ/プル
- そこから上半身/下半身に移行
というステップアップもおすすめです。
おすすめ分割③:胸・肩/背中・腕/脚(3分割)
これは、筋トレ上級者・高頻度トレーニー・コンテスト志向の方におすすめの分割です。
Day1:胸・肩
- バーベルベンチプレス
- インクラインダンベルプレス
- フライ
- ケーブルクロスオーバー
- ショルダープレス
- サイドレイズ
Day2:背中・腕
- デッドリフト
- 懸垂
- ベントオーバーローイング
- バーベルカール
- インクラインダンベルカール
- オーバーヘッドトライセプスエクステンション
- ケーブルプレスダウン
Day3:脚
- スクワット
- レッグプレス
- レッグカール
- レッグエクステンション
- スタンディングカーフレイズ
- シーテッドカーフレイズ
1週間の例(週6回中5回トレ)
- 月:胸・肩
- 火:背中・腕
- 水:脚
- 木:休み
- 金:胸・肩
- 土:背中・腕
- 日:脚 or 休み
あるいは、
- 3日やったら1日休む
- この「3on1off」を繰り返す
というサイクルでもOKです。
3分割法の強みは、
**「弱点部位にボリュームを集中しやすい」**こと。
たとえば「肩が弱い」と感じれば、胸・肩の日のサイドレイズ・リア種目を増やすなど、
細かい調整がしやすくなります。
- 増量期
- トレ歴3年以上
- 週4〜6回の高頻度でトレーニングできる
という条件が揃っている方にとっては、
3分割は非常に強力な武器になります。
まとめ:全身法 vs 分割法より「頻度×ボリューム×継続」
最後に、この記事のポイントを整理します。
- 全身法 vs 分割法の優劣は「ほぼない」
→ ボリューム(重量×回数×セット数)を揃えれば、筋肥大・筋力増強は同等 - 「分割法が筋肥大に有利」というのは、
→ “トレ後48時間筋合成が続く”という古い通説に基づいた話で、現在のエビデンスとはズレている - 減量期・ダイエット期には、
→ 全身の筋分解を防ぐために全身法が強く推奨される - 分割法の真のメリットは、
- 筋トレ継続率の向上
- 疲労感の軽減
- 弱点部位へのボリューム集中
そして何より大事なのは、
- 1つの筋群を週2回以上鍛える
- 疲労を抜けるようにスケジュールを組む
- 自分が続けやすいスタイルを選ぶ
という3つです。
全身法だからダメ、分割法だから良い、ということは一切ありません。
「自分のライフスタイル・現在の体の状態・目標」に合わせて、“神の分割法”を設計すること自体が、筋トレの醍醐味です。
あなたの今の状況に合わせて、
- 減量期なら:全身法メイン
- 初心者〜中級なら:プッシュ/プル or 上半身/下半身
- 上級・増量期なら:胸・肩/背中・腕/脚の3分割
といった形で、ぜひ一度“分割の組み直し”をしてみてください。
正しい分割法で、同じ努力量で「筋肥大率・筋力増強率を倍増」させていきましょう。
References(English)
- Madrid Technical University. Full-body vs split-body resistance training on muscle hypertrophy and strength: a meta-analysis (2024).
- Gent University. Resistance training and prevention of muscle atrophy during energy restriction (2024).
- Salford University. Time course of muscle protein synthesis after resistance exercise: re-examining the 48-h hypothesis (2021).
- Rhea MR et al. A comparison of linear and daily undulating periodized programs with equated volume and intensity for local muscular endurance (2002).
- Schoenfeld BJ et al. Effects of resistance training frequency on measures of muscle hypertrophy: a systematic review and meta-analysis (2016).
- Additional sources and practical insights from:
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