~疲れない身体を造る~
- 筋トレしても、仕事しても、ずっと頭が重い
- 休んだはずなのに、翌日もダルさが抜けない
- 何となくやる気が出ず、トレーニングも続かない
こういう状態が続いているなら、かなり高い確率でそれは**「神経疲労」**です。
どれだけトレーニングをしても、どれだけ栄養を取っても、
神経疲労が残っていると、本来の実力の7〜8割しか出せません。
- 集中力
- 判断力
- やる気
といった“脳と神経のパフォーマンス”が落ちてしまうからです。
ただ、安心してください。
神経疲労は「根性で我慢するもの」ではなく、
科学的に“リセットする方法”がはっきり分かっています。
この記事では、2022年にブリュッセル自由大学から発表されたレビュー論文をベースに、
神経疲労を確実にとる「エビデンスレベルA」と認定された10の方法を分かりやすく解説していきます。神経疲労を確実にとる10の方法 ~疲れない身体を造る~
先に結論:神経疲労を取る10の方法(ここだけ読みたい人向け)
2022年のレビューでは、
18〜50歳の被験者を対象に、30分以上の難しい課題であえて神経疲労を起こさせたうえで、
「どの方法が、どれくらい神経疲労を改善できるのか?」
を33研究で比較しています。神経疲労を確実にとる10の方法 ~疲れない身体を造る~
その結果、**エビデンスレベルA(効果が確立している)**とされたのが、この10個です。
- 自然とのふれあい(公園・自然・植物など)
- 音楽を聴くこと
- 香り(アロマ)
- マッサージ
- サウナ・蒸気浴
- 仮眠(10〜20分の昼寝)
- 軽い有酸素運動(ウォーキング)
- マインドフルネス(瞑想・呼吸への集中)
- カフェイン(200〜400mg/日)
- マルトデキストリン(特に運動後)
このうちどれか1つでも良いので、自分に合うものを生活に組み込むだけでOKです。
ここから、それぞれの中身と“具体的なやり方”を見ていきます。
1. 自然とのふれあい(グリーンエクスポージャー)
どう効くのか?
- 樹木・草原・水辺などの“自然の風景”には、視覚的なリラックス効果がある
- 緑を見ることで、副交感神経が優位になり、ストレスホルモン(コルチゾール)が低下
- 脳の前頭前野(意思決定・自己コントロールを司る部分)の活動が抑えられ、脳が休める
- セロトニン・オキシトシンなど、いわゆる“幸せホルモン”も分泌されやすくなる
子どもを対象にしたデータでも、自然の多い地域に住むだけで、ストレスや情緒の問題が減ることが示されています。
どれくらいで効果が出る?
- 1回あたり20分程度、自然環境に身を置くとコルチゾールが低下
- 1週間トータルで120分以上自然の中で過ごすと、身体的・精神的に良い影響が出やすい
※必ずしも一度に120分ではなく、細切れの合計でOKです。
実践のポイント
- 週に数回、近所の公園を20分散歩
- ベランダや室内でのガーデニング・観葉植物を眺める
- 窓の外に緑が見える席で作業する
「1週間で2時間は無理…」という方でも、5〜10分の短時間接触でも心理的効果は得られるので、できる範囲から始めてみてください。
2. 音楽を聴くこと
どう効くのか?
心地よい音楽を聴くと、
- 脳の**側坐核(そくざかく)**が活性化 → ドーパミン(やる気ホルモン)が分泌
- セロトニン・オキシトシンも分泌 → 内側から“じわっと”リフレッシュ
- 感情が解放され、ストレス・不安が軽減
テンポやジャンルによって、得意な効果が少し変わります。
おすすめの選び方
- リラックスしたいとき
→ 自然音(波の音・雨音)+スローテンポのBGM - 集中力を上げたいとき
→ モーツァルトやバッハなどのバロック音楽 - 気分を上げたいとき
→ 明るいメロディー・アップテンポな曲
“正解の音楽”は人によって違うので、
**「聴いた瞬間に、肩の力が抜けるかどうか」**を目安に選ぶのがおすすめです。
3. 香り(アロマ)
どう効くのか?
嗅覚は、視覚・聴覚よりもダイレクトに**大脳辺縁系(感情や記憶を司る部分)**に届きます。
- 心地よい香り → 大脳辺縁系を落ち着かせる
- ストレスやイヤな記憶でパンパンになった頭を、香りで一度リセットできる
神経疲労改善にエビデンスのある香り
- ラベンダー
- ベルガモット
- ローズマリー
- レモン
- サンダルウッド など
実践のポイント
- 精油(エッセンシャルオイル)を
- ハンカチに1滴たらす
- マスクの端に少量しみこませる
- ディフューザーで焚く
- お風呂に数滴入れてアロマバスにする
「仕事で嫌なことがあった」「感情的に疲れた」
そんなときこそ、香りで脳に“休憩”を入れてあげてください。
4. マッサージ
どう効くのか?
マッサージは、筋肉の疲労だけでなく神経疲労の改善にも有効です。
- 心地よい刺激 → 副交感神経が優位に
- 自律神経のバランスが整い、脳と神経がクールダウン
- 不安・イライラも落ち着きやすくなる
特に首〜肩周りのマッサージは、神経疲労の改善効果が高いとされています。
実践のポイント
- パートナーや家族がいれば、10分程度の首〜肩マッサージをお願いする
- 難しければ、マッサージガンやマッサージクッションを活用
- 自分で
- 首の後ろをつまむ
- 側頭部(こめかみ)を軽く押し回す
「お店に毎回行くのはコスト的に…」という方は、一度マッサージガンを導入して、自宅で“セルフ神経リセット”環境を作るのもアリです。
5. サウナ・蒸気浴
どう効くのか?
- 体を温める → 血流が向上
- 脳と神経への酸素供給が増える
- 交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズになり、自律神経のリセットにつながる
結果として、頭の重さ・だるさ・集中力低下といった神経疲労の症状が改善しやすくなります。
ただし「やりすぎ」は逆効果
サウナは適度なら神経疲労に良いのですが、
- 頻度が多すぎる
- 長時間入りすぎる
- 水分補給が不十分
だと、逆に
- 脱水
- 心拍数・負担増
- 自律神経の乱れ
につながり、疲労が余計にたまる可能性があります。
実践の目安
- 頻度:多くても週1回程度
- 基本の流れ:
- サウナ
- 水シャワー or 水風呂
- 休憩(外気浴)
- の「1セット10〜15分」を2〜3セット
6. 仮眠(10〜20分の昼寝)
どう効くのか?
「夜にしっかり寝る」は大前提として、
日中の10〜20分の仮眠は“神経の上書き保存”のような効果があります。
- 集中力・注意力の回復
- 情報処理能力の改善
- イライラの軽減
が短時間で得られ、**脳の“リセットボタン”**として非常に優秀です。
仮眠のポイント
- タイミング:昼食後〜15時まで
- 時間:10〜20分(30分以上はNG)
30分以上寝てしまうと、
- 脳の浅い休息 → 深い睡眠モードへ
- 起きたときにだるさ・眠気(睡眠慣性)が強く出る
ため、「アラーム20分」は必須です。
- 机に伏せる
- 椅子に深く座って目を閉じる
など、完全に横にならなくてもOK。
「5分でも目を閉じるだけで違う」ので、できる範囲から。
7. 軽い有酸素運動(ウォーキング)
どう効くのか?
- 血流が良くなり、脳への酸素と栄養供給がアップ
- セロトニン分泌が増え、気分が安定
- 知的作業・勉強・クリエイティブな仕事のパフォーマンス向上
ポイントは**「軽い」**こと。
- ランニング・激しい有酸素 → コルチゾール(ストレスホルモン)が増えやすい
- 結果的に神経疲労が悪化することも
実践のポイント
- 目安は1回20〜30分のウォーキング
- できれば自然の多い公園で歩けると、
→ 「自然とのふれあい」+「有酸素」のダブル効果で、神経疲労を一気に抜けます。
有酸素運動=とにかくゼーハーするまで走る
ではなく、
“会話しながら歩けるくらいの強度”がベストです。
8. マインドフルネストレーニング(瞑想)
どう効くのか?
神経疲労の大きな原因の一つが、
- 過去のことを考え続ける
- 未来の不安を何度もシミュレーションする
- 「あれしなきゃ」「これもしなきゃ」で頭がフル回転
…という**“考えすぎ”**の状態です。
マインドフルネス=「今この瞬間に意識を戻す練習」をすることで、
- 頭の中の“雑音”を一時的に止める
- 脳のエネルギー消費を下げる
- メンタルの回復力(レジリエンス)を高める
といった効果が期待できます。
やり方(超シンプル版)
- 静かな環境で楽な姿勢で座る(椅子でも床でもOK)
- 目を閉じて、鼻から吸って口から吐く呼吸に意識を向ける
- 「空気が入ってくる感覚」「お腹が膨らむ・へこむ感覚」に集中
- 他のことを考えていると気づいたら、何度でも呼吸に意識を戻す
- これを5分間続ける
「集中できない」「雑念だらけ」でもOK。
“気づいて戻る”を繰り返すこと自体がトレーニングです。
9. カフェイン(コーヒーなど)
どう効くのか?
カフェインは、
- 疲れを感じさせる物質「アデノシン」が受容体に結合するのをブロック
- ドーパミン分泌アップ → やる気・集中力アップ
- エンドルフィン分泌 → ストレス・痛みの感じ方を軽減
- ミトコンドリアのエネルギー産生アップ → 脳のエネルギー効率UP
など、多方面から**神経疲労を軽減する“王道ツール”**です。
量とタイミングのポイント
- 1日の総量:200〜400mg
- コーヒーなら**最大で約4杯(合計約570mL)**が目安
- 飲むタイミング:
- 朝〜昼(寝る6時間前以降は避ける)
- 頭を使う作業の30〜60分前
これを超える量を飲むと、
- 動悸・不安感
- 夜の睡眠の質低下
- 結果的に“慢性的な神経疲労”
を招くので注意が必要です。
「何となくダルいから、とりあえずエナドリ連発」は、
短期的には楽でも、中長期的にはむしろ神経疲労を悪化させるのでNGです。
10. マルトデキストリン(特に運動後)
どう効くのか?
マルトデキストリンは、でんぷん由来の消化吸収が非常に速い多糖類です。
- 脳はほぼ100%、ブドウ糖をエネルギーとして使う
- 高強度の運動や仕事・勉強で、脳の糖が枯渇すると“神経疲労”が強く出る
- そこで、吸収の速いマルトデキストリンで糖を補給すると、
→ 脳のエネルギー切れが解消され、神経疲労が抜けやすくなる
特に、筋トレ後・高強度運動後には有効です。
実践の目安
- 運動後すぐに、マルトデキストリン約40gを水に溶かして飲む
- できれば、ホエイプロテインと一緒に摂ると
- 筋グリコーゲンの回復
- 筋タンパク合成
- 神経疲労の回復
を同時に狙えます。
「糖質=太る」というイメージが強いかもしれませんが、
**タイミングと量を守れば“脳と神経を回復させるための戦略的な糖質”**になります。
今日からできる“神経疲労リセット”ミニプラン例
全部を一気にやる必要はありません。
例えば、こんな組み合わせからで充分です。
平日バージョン(仕事+筋トレがある日)
- 朝:
- コーヒー1〜2杯(合計200mg前後のカフェイン)
- 昼休み:
- 10〜15分の仮眠
- 帰宅後:
- 20〜30分のウォーキング(できれば公園)
- トレーニング後:
- マルトデキストリン40g+ホエイ20〜30g
- 就寝前:
- 5分間のマインドフルネス(呼吸瞑想)
休日バージョン
- 午前:
- 公園や自然のある場所で20〜30分散歩
- 午後:
- 好きな音楽を聴きながら、観葉植物の手入れやガーデニング
- 夕方:
- 軽いサウナ or 蒸気浴(週1回まで)
- 夜:
- アロマ+軽いストレッチ+マッサージガンでセルフケア
まとめ:神経疲労を制する者がパフォーマンスを制する
- 筋トレも仕事も、「神経のコンディション」が土台
- 神経疲労がたまっていると、
- 筋力
- 集中力
- やる気
のすべてが“本来の実力以下”になってしまう
- 2022年のレビューでは、
自然・音楽・香り・マッサージ・サウナ・仮眠・軽い有酸素・マインドフルネス・カフェイン・マルトデキストリン
の10個が、神経疲労改善に「エビデンスレベルA」として認定されている
神経疲労は「気合い」で乗り越えるものではなく、「仕組み」で減らすものです。
この中から、
「これなら自分でも続けられそうだな」というものを1〜2個だけでいいので今日から取り入れてみてください。
神経疲労が抜けてくると、
- トレーニングの質
- 仕事のパフォーマンス
- メンタルの安定感
がまとめて底上げされていきます。
“疲れない身体・折れないメンタル”をつくるために、ぜひ神経疲労ケアをルーティン化してみてください。
References(English)
- Van Cutsem J, et al. Interventions for mental fatigue and recovery: a systematic review and meta-analysis. 2022, Université libre de Bruxelles. PubMed ID: 35543922.
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