みなさん、サプリメントってどうやって飲んでいますか?
「とりあえずプロテインだけ」「クレアチンは単独で」──そんな風に単品で使っている方、多いと思います。
でも、最新の研究では、サプリは“組み合わせる”ことで効果が倍増することがわかってきました。
この記事では、2025年の最新研究を中心に、
- 筋肥大率1.7倍
- 脂肪燃焼率3.2倍
- 筋力2.6倍
- 持久力・スプリント能力・アジリティ・疲労回復の“伸びる組み合わせ”
- 逆に“筋肉と身体を狂わせる危険な組み合わせ”
まで、かなり踏み込んで解説していきます。
1. 効果を底上げする2つの最新研究
まずは、この記事の根幹となる2つの最新研究から。
1-1. マルチ成分ポストワークアウトサプリの研究
1つ目は、2025年に発表された多成分配合の運動後サプリメントに関する研究です。
テーマは、
「多成分配合の運動後サプリメントが体組成と筋力に及ぼす影響」
被験者は20名。
方法はシンプルで、トレーニング直後に2種類のサプリのどちらかを6週間摂取してもらい、その前後で
- 体組成(筋肉量・体脂肪量・ウエスト)
- 筋力(垂直跳びなど)
- パフォーマンス
を比較したというものです。
比較したサプリメントは2種類。
- ① 炭水化物のみを摂取するグループ(コントロール)
- ② 炭水化物+ホエイプロテイン+クレアチン+HMB+ビタミンD3 のマルチ成分グループ
結果はかなりインパクトがありました。
- 炭水化物のみ群
→ 6週間後も有意な変化なし - マルチ成分群
→ 除脂肪体重:+1.34kg
体脂肪量:−1.09kg
ウエスト:−2.5cm
筋力は垂直跳びで評価され、
- 炭水化物のみ:+1.1cm
- マルチ成分群:+2.9cm
と大きな差がついています。
さらに、対照群と比較した“効果量”としては、
- 筋肥大率:1.7倍
- 体脂肪燃焼率:3.2倍
- 筋力増強率:2.6倍
という、まさに“掛け算”レベルの差が出ています。
このときの配合量の目安は以下の通り。
- ホエイプロテイン:20〜25g
- クレアチン:3g
- HMB:1.5g
- ビタミンD3:1000 IU
- 炭水化物(マルトデキストリンなど):20〜25g
いずれも、一般的に「安全」とされる範囲の量であり、過剰摂取ではない現実的な数値です。
筋肉量を増やしながら脂肪を落とし、さらに筋力も上げたい方には、かなり有望な組み合わせだと言えます。
1-2. サッカー選手を対象としたサプリメントのネットワークメタ分析
2つ目は、2025年にマレーシアのプトラ大学から発表されたメタ分析です。
タイトルは、
「サッカー選手の競技パフォーマンスに対する各種サプリメントの効果」
サッカー選手と聞くと「自分とは関係ない」と思うかもしれませんが、この研究で見ているのは
- 持久力
- スプリント能力
- アジリティ(敏捷性)
- 疲労回復
といった、あらゆるアスリートに共通する指標です。
この研究では、
- 80件のランダム化比較試験
- 延べ1425人のサッカー選手
- 31種類のサプリまたはプラセボ
を対象とし、「どのサプリ、どの組み合わせが最もパフォーマンスを伸ばすか」を比較しています。
その中から**“組み合わせ”に関する部分だけ**をピックアップすると、以下のような結果が示されています。
持久力(走行距離)の向上
- 炭水化物+たんぱく質
→ プラセボと比較して走行距離が4〜5倍向上 - 炭水化物+電解質(ナトリウム等)
→ 走行距離が約3倍向上
スプリント能力の向上
- クレアチン+マグネシウム
→ プラセボと比較して、スプリント能力が5倍以上改善
アジリティ(敏捷性)の向上
- クレアチン+重炭酸ナトリウム(重曹)
→ 敏捷性テストで有意な改善
疲労回復の向上
- 炭水化物+電解質
→ 疲労回復が促進され、翌日のパフォーマンスが保たれやすくなる
これらの組み合わせの推奨量の目安は以下の通りです。
- 持久力向上目的
- 炭水化物:体重1kgあたり約1.0g(=体重と同じg数の糖質)
- たんぱく質:20〜25g
- 電解質:ナトリウム 20〜50 mmol/L 程度
- スプリント能力向上
- クレアチン:3g
- マグネシウム:250〜400mg
- アジリティ向上
- クレアチン:3g
- 重炭酸ナトリウム:体重1kgあたり0.2g
- 疲労回復目的
- 糖質:約60g
- 電解質:ナトリウム 20〜50 mmol/L 程度
2. まとめ:目的別「掛け算サプリ」早見表
ここまでの2つの研究から、実践に落とし込むと次のようになります。
2-1. 筋肥大+脂肪燃焼+筋力アップ
ホエイプロテイン+クレアチン+HMB+ビタミンD3+マルトデキストリン
- ホエイ:20〜25g
- クレアチン:3g
- HMB:1.5g
- ビタミンD3:1000 IU
- マルトデキストリン:20〜25g
→ 筋肥大率1.7倍、脂肪燃焼率3.2倍、筋力2.6倍(対コントロール)
2-2. 持久力を上げたい(中長距離・総合的な体力)
炭水化物+たんぱく質
or
炭水化物+電解質
- 糖質:体重1kgあたり約1g
- たんぱく質:20〜25g
- ナトリウム:20〜50 mmol/L
2-3. スプリント能力・瞬発系のパワーを上げたい
クレアチン+マグネシウム
- クレアチン:3g
- マグネシウム:250〜400mg
2-4. アジリティ(敏捷性)を上げたい
クレアチン+重炭酸ナトリウム
- クレアチン:3g
- 重曹:体重1kgあたり0.2g
※胃腸が弱い方は重曹の量に注意。
2-5. 疲労回復を早めたい
炭水化物+電解質(ナトリウム)
- 糖質:60g前後
- ナトリウム:20〜50 mmol/L
クレアチン自体は「筋肉への蓄積」によって効果を発揮するサプリなので、タイミングよりも“毎日継続すること”が重要です。
一方で、糖質や電解質は運動前後のタイミングで摂ることで、より効果的に働きます。
3. 筋肉・身体を狂わせる「危険な組み合わせ」
ここからは逆に、身体に悪影響を及ぼしたり、効果を打ち消し合う可能性が高い組み合わせを見ていきます。
2020年にアメリカのポイズンセンター(毒物情報センター)のデータでは、サプリメントによる体調不良・ホルモン異常が年間13万件以上報告されています。
過剰なサプリ摂取や誤った組み合わせは、筋肉を成長させるどころか、
- ホルモンバランスの崩壊
- 心血管リスクの上昇
- 最悪の場合、後遺症が残るケース
につながることもあります。
3-1. ビタミンD+カルシウム
カルシウムは骨の材料として有名なミネラルです。
ビタミンDは、筋力向上・ミオスタチン(筋分解遺伝子)の抑制・運動パフォーマンス向上など、多くのメリットが報告されている重要なビタミンです。
そのため、
「骨のためにカルシウム」+「筋肉のためにビタミンD」
という組み合わせでサプリを飲んでいる人も少なくありません。
しかし、サプリで両方を一気に高用量摂ると危険性が高まることが、いくつかの研究で示唆されています。具体的には、
- 血中カルシウム濃度が異常に高まる(高カルシウム血症)
- 心血管イベント(心筋梗塞など)のリスク上昇
などです。
食事からのカルシウム摂取+ビタミンDサプリ、といった**“食事+単独サプリ”の形ならまだ許容範囲**ですが、サプリでカルシウムをガンガン足すのはあまりおすすめできません。
3-2. プロテインパウダー+EAAの過剰摂取
プロテインパウダーもEAAも、適切な量であれば筋肥大にプラスです。
ただし、
- すでに1日あたり体重1kgあたり1.6〜2.0gのたんぱく質を確保している
- そこにさらにEAAを大容量で追加する
となると、単にたんぱく質の過剰摂取になってしまいます。
耐容上限は個人差がありますが、増量期でも1.6g/kg/日前後、減量期でも2.0〜2.4g/kg/日が現実的な上限です。
これを大きく超えると、
- 腎機能への過剰な負担
- 消化器症状(下痢・便秘・胃もたれ)
- 他栄養素(ビタミン・ミネラル・食物繊維)の不足
を招きやすくなります。
「足りないから補う」のがサプリの役割であって、すでに十分足りているのに“盛る”ためにEAAやプロテインを重ねるのは、むしろ逆効果になりかねません。
3-3. ビタミンE+マルチビタミン
抗酸化ビタミンであるビタミンEやビタミンCは、筋損傷の軽減目的で摂る方も多いサプリです。
しかし、高用量のビタミンEサプリメントは、
- 筋肉の適応を阻害し、トレーニング効果を弱める可能性
- 高用量摂取で全死亡リスクが上昇する可能性
がメタ分析で示されています。
さらに、
- ビタミンE単体サプリ
- + ビタミンEも含むマルチビタミン
- + 食事での意識的な摂取
と重ねていくと、知らないうちに耐容上限に近づきます。
ビタミンEは脂溶性ビタミンで、過剰になると凝固不全・出血傾向など、命に関わるリスクもあります。
ビタミンEはあくまで食事(ナッツ、植物油、アボカドなど)からの摂取をメインにし、サプリでの“盛り”は避けるのが無難です。
3-4. クレアチン+カフェインの同時大量摂取
これは「健康被害」というより、お互いの効果を打ち消し合う可能性がある組み合わせです。
- クレアチン:筋収縮のエネルギー源を増やし、パワー・筋力を上げる
- カフェイン:中枢神経を刺激し、疲労感を抑え、筋出力を上げる
と、一見すると相性が良さそうですが、一部の研究では同時摂取でパフォーマンス低下やクレアチン効果の減弱が報告されています。
また、クレアチンは筋肉内の水分保持を高める一方、カフェインには利尿作用・脱水傾向があり、生理学的にも作用がぶつかりやすい部分があります。
現時点でエビデンスは「決定的」とまでは言えませんが、
- クレアチンはいつも通り継続摂取
- カフェインはトレ前30〜60分など、2時間以上ずらして摂取
という形にしておく方が無難です。
3-5. 亜鉛+鉄分サプリの併用
最後が亜鉛と鉄分サプリの組み合わせです。
- 酷い疲労感 → 鉄分サプリ
- 男性ホルモン・免疫・肌 → 亜鉛サプリ
と、“なんとなく良さそう”なイメージで両方飲んでしまうパターンが少なくありません。
しかし、鉄サプリの摂取によって亜鉛の吸収が有意に低下することが報告されており、逆に亜鉛を過剰摂取すると銅欠乏 → 貧血・免疫低下・神経症状のリスクも高まります。
特に亜鉛はサプリから40mg/日以上を継続摂取すると、
- 銅欠乏
- 免疫異常
- 心血管機能低下
- 前立腺がんリスク上昇の可能性
などが懸念されます。
鉄も亜鉛も、基本的には
- 赤身肉・レバー・魚
- 卵・乳製品
- 穀類・豆類
から十分に摂取可能な栄養素です。
医師からの指示がない限り、鉄・亜鉛の“両方サプリ”は避けるのが賢明です。
4. 本日のまとめ
- サプリは「単品」よりも、目的に応じて“掛け算”で組み合わせることで効果が大きくなる
- 特に、
- ホエイ+クレアチン+HMB+ビタミンD3+マルトデキストリン
- 炭水化物+たんぱく質/電解質
- クレアチン+マグネシウム/重曹
といった組み合わせは、筋肥大・持久力・スプリント・アジリティ・疲労回復をそれぞれ強くサポートしてくれる
一方で、
- ビタミンD+カルシウム
- プロテイン+EAAの“盛りすぎ”
- ビタミンE+マルチビタミン
- クレアチン+カフェイン(同時大量)
- 亜鉛+鉄分サプリ
といった組み合わせは、健康リスクや効果の打ち消し合いにつながる可能性が高いため注意が必要です。
サプリメントはあくまで「不足を補う道具」であり、「とりあえず多く飲めばいいもの」ではありません。
自分にとって本当に必要なものだけを、正しい組み合わせと量で使っていきましょう。
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